香の説明

匂い線香(においせんこう)

西暦1600年代に中国から伝わったお香の一種です。長時間安定した燃焼をするので、別名「長寿香」とも呼ばれていました。多種類の漢方香料を調合し、椨皮粉(たぶこ)をベースとして練り上げ、細い棒状に成形し乾燥させたお香です。お香の需要の90%以上を占めています。

けむりの少ない 匂い線香(においせんこう)

最近はけむりの少ないタイプのお線香が重宝されています。けむりの少ないお線香を造るには「活性炭粉」や「木炭粉」などを基材とします。着火した木炭からけむりが出ないのと同じなのです。
また、漢方系の粉末を配合すると香煙が出やすく、逆に香水や香油などを中心に配合すると香煙が少なくなる傾向があります。

杉線香(すぎせんこう)

杉の葉を乾燥させて粉末にし、匂い線香同様に成形したお香です。
薫りは杉の葉独特のもので、主にお墓参りなど屋外で使用されています。

竹芯香(ちくしんこう)

40センチほどの竹ひごに香料粉末を練り付け、乾燥させた線香の一種です。東南アジア各国で生産されています。

全体に薫りが濃く、しかも竹ひごが共に燃焼するので屋内での使用には適さないようです。日本を除く東南アジア諸国の家庭や寺院で使われています。

座敷香(ざしきこう)

後述の練り香と同様な漢方香料を配合した、線香状のお香です。薫りは落ち着いた和風で、使いやすいお香として普及しています。高級な匂い線香には座敷香に優るとも劣らない物もあります。

 

香水香(こうすいこう)

洋風の香水や香料を配合した線香状のお香で、薫りのバリエーションに富んでいます。配合した香料により洋風のモダンな薫りが楽しめます。

一般にインセンスと呼ばれており、線香状や渦巻き、円錐形のコーンなど様々な形があります。

当社ではルームインセンスの商標で製造販売しています。

寺院用線香(じいんようせんこう)

長尺線香は御寺院でお経を唱えたり、座禅を組んだりする時に焚かれるお線香です。

お線香一本が燃え尽きるまでをお務め時間とするため、お線香の長さや太さは数種類あり、大天香は70cmの長さです。

渦巻線香(うずまきせんこう)

お通夜から満中陰(四十九日)までの間、昼夜問わず焚き続けるためのお線香です。明治時代に大阪で発明されました。それまでは棒状の線香を焚き継いでおりましたが、渦巻線香によって1日2回の着け替えで済むようになりました。

焼香(しょうこう)

様々な漢方香料を小さく刻み、調合したお香で主に仏教儀式で使われます。殆ど香料が調合されていない形ばかりの焼香から、香木を中心に調合された高級品まで多くの種類が使用されています。

安価な物を大量に焚いても決してよい薫りにはならないので、基本的には品質の高い物を少なめに使うのがコツです。

煙の少ないお焼香
メモリアル

当社のけむりの少ない匂い線香と同じ原材料で、お焼香のチップ状に成形したものです。
この「メモリアル」は従来のお焼香と比べて香りの量が少なく、香煙の量も1/5以下に押さえています。

抹香(まっこう)

漢方香料を粉末にして調合したお香で、香炉や常香盤の平たくならした灰の上に筋状に敷き、端から着火して長時間焚きます。
常香盤では決められた形に抜かれた型板を使って、その溝に抹香を敷き、着火します。

常香盤(じょうこうばん)

香炉の灰の上に香型を使って抹香を導火線状に敷き、端から点火します。お線香と同様に長時間焚き続ける事が可能で、お線香が伝来(発明)されるまではこの方法で長時間お香を焚いていました。香りを発散し終えた部分が次の燃料になるので簡便で合理的です。

※1:右から香型、香ならし(大・小)、灰かき。台の引き出しの中に納められています。

練香(ねりこう)

漢方香料を調合し、ベースの木炭粉、蜂蜜、梅肉などを入れて練り合わせた直系8~10ミリの柔らかく湿った丸薬状のお香です。

香炉に炭団を埋めて遠火で熱するとゆるやかに薫りが出ます。
茶道では炉の中の熱灰に置いてゆっくりと加熱します。
平安時代以降、多くの貴族や皇族が自分独自の調合を創作し、現在に伝えられています。

後小松天皇の残された調合法が『六種の薫物/むくさのたきもの(むくさのたね)』として伝えられ、梅花(ばいか)、荷葉(かよう)、菊花(きっか)、落葉(らくよう)、侍従(じじゅう)、黒坊(くろぼう)などの調合が有名です。

沈香角割風 印香(じんこうかくわりふう いんこう)

通常の印香は練り香と同様のお香を成形し、乾燥させたお香です。保存が容易で使いやすいお香として作られています。使い方は練り香と同じで、香炉に炭団を埋めて遠火で加熱します。

玉初堂の「印香」は、オリジナルの成形機を使って角割風にしています。上記の使い方以外に、細く割って空薫(そらだき)にもお使いいただけます。詳しくは、こちらをご覧ください。

塗香(ずこう)

常温で香りを発する漢方香料を粉末にして調合したお香です。

その名の通り、手のひらなどに少量とって両手でこすり合わせ、その香りを鼻や口から吸い込んで体内から清める目的で使用します。

香木の種類

伽羅(きゃら)

沈香の中で最も貴重な香木「伽羅」。

ベトナムの限られた地域でしか産出せず、しかも極めて少量です。その香りを昔の人は、『その香り高貴なこと、宮人の如し』と表現しています。常温でも清やかな香りを発し、焚くと濃厚な他に例えようの無い伽羅独特の香りを醸し出します。

沈香(じんこう)

沈香とは東南アジア諸国の密林で沈丁花科アキラリア属(喬木)に生じる樹脂の沈着した部位を言います。人為的に増産することは困難で自然に生成するものが殆どであり、薫りは高貴で奥床しく、お香や鎮静効果のある漢方薬として、古来より珍重されていました。

沈香は常温では香りを発しませんが、摂氏150度以上に加熱すると樹脂の成分が蒸発し、香りとして感じられるようになります。(上質のインドネシア産沈香には常温で薄い香りを発するものがあります。)色が黒くて紫外線に強く、常温では揮発しないため、長い年月貯蔵しても全く変質しません。千年以上保管されているものでも焚けば薫りを発するのです。

白檀(びゃくだん)

インドやインドネシアで産出します半寄生の熱帯性常緑樹です。特にインド・カルナタカ産の白檀は「老山白檀」と言われ、非常に上品で香りが高い最高級品です。

薫香料として使われますのは芯材の部分です。抽出した精油などは香料にも使われ、保香剤としての役目もあります。常温でも芳香があり扇子や彫刻を始め美術工芸品の材料としても使われます。

ここ数年白檀の価格が上昇を続けています。上質な丸太の状態で入手することは本当に困難になりました。

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