「香り文化」を伝え、育んでいくブランドへ
お香を焚くと、空気が変わり、気分も変化する。そう感じたことはないでしょうか。実際に、ステイホームを余儀なくされたコロナ禍には、空間を変えずに気分を変えるものとして香りの需要が増加。おうち時間を豊かにする⽂化として注⽬を集めるようになりました。
ただ、人々が香りに関心を寄せるようになったのは、近年に限ったことではありません。
お香の歴史は古く、『日本書紀』には、推古天皇3年(595年) 4月、淡路島に沈水(香木)が漂着したと記されています。
平安時代には、貴族の間で個性を表現するものとして練香が流行。戦国時代には、武将の権威と教養を示すものとして香木が珍重されるなど、時代とともに目的や形状を変化させながら、香り文化が育まれてきました。

玉初堂の創業は江戸時代後期にあたる文化元年(1804年)。香りをつくり、香りに生かされてきた歴史があります。
だからこそ“上質な香りを提案するだけでなく、培われてきた香り文化までお伝えし、未来へとつないでいきたい”。
そう考えて、新ブランドを立ち上げることを決めました。香りの歴史や、香りを生み出す原材料、つくり方や楽しみ方など、モノだけでなくコトまでお届けする場をつくり、奥深い香りの魅力にふれていただきたいと思ったのです。
私たちにとって最初のブランドであるICHIKŌ ICHIE(イチコウイチエ)は、お香との出会いを生む、入り口のような存在。二つめのブランドとなるQNOWAは、お香への興味を深めながら、その楽しみをさらに広げていくことをめざして、2024年7月、「KITTE大阪」にオープンしました。
途切れることなく巡る「時間」に着目
QNOWAのテーマは「時間」。これは、お客様と玉初堂をつなぐ接点です。
香りを選ぶとき、おうちで香りを楽しむとき、ほのかな残り香を感じるとき……香りは、お客様のいろいろな「時間」をともにするもの。
一方、玉初堂には創業からお線香やお香づくりに費やしてきた歴史があります。それは、日々、香りの研究に取り組み、製造し、品質を管理し……という濃密な「時間」の積み重ね。
お客様と玉初堂をつなぐものは「時間」であるという考えに辿り着きました。時間は、途切れることなく巡るもの。時間のように、上質な香りを永久に循環させ、日々に寄り添いたい――「QNOWA(クノワ/久の環)」というブランド名は、そんな想いから生まれました。ロゴは「QNOWA GYOKUSHODO1804」。ブランド名とともに玉初堂の創業年を掲げることで、香りへの専門性を表しました。

コンセプトは「香りを通して時間に価値をもたらす」。
お香を焚くことで、時間の流れを感じるとともに、今この瞬間を大切に想い、かけがえのない時を重ねていただきたい。そんな願いを込めて、上質な香りや体験を提案していこうと考えました。
目に見えない「時間」を、香りやパッケージなど全てに表現
お香は、「時間」から導き出した3つのシリーズで展開しています。
【Eternal】は、時を超えて愛される悠久の香り。古くから人々を魅了し続ける「伽羅」をはじめ、稀少な天然香木を使用したシリーズです。プレミアムな香りにふさわしい、高級感のある竹素材の箱に収めています。

【Inspired】は、歴史を感じる香り。玉初堂に代々伝わる調合法をもとに、時代に合わせて磨き上げたお香で、それぞれの起源の年や発売年を商品名としています。パッケージは創業の1800年代から100年区切りで色を変え、玉初堂の歩みを表現しました。

【Moments】は、様々な時間に寄り添う香り。一日を24時間に分け、それぞれのシーンや気分におすすめの香りを取り揃えています。
「7:00」「8:00」など、時間そのものが商品名となっており、パッケージを開けると、お香より先に、その時間をイメージしたストーリーカードが現れます。お香を焚く前から香りの世界に没入できるようにと考えた仕掛けです。


香り文化を幅広くお楽しみいただけるよう、茶香炉やおりんなど、香りにまつわる道具も厳選してラインアップしています。
線香工場のディテールを取り入れた空間で、香りをつくる時間を
店舗デザインは、過去から未来へと流れる「時間」を軸に、伝統と現代を融合。途切れることなく巡りゆく様を、空間の普遍性を通して表現しています。

また、お線香を乾燥させる際に用いる「干し板」から発想した什器、スライド式の連子窓「べかこ」をイメージした間接照明など、昔ながらの線香工場に見られる要素をデザインに採用。
棚には、沈香や桂皮といったお香の原材料をディスプレイし、空間そのものが香り文化を伝える一翼を担っています。


店内には香りづくりを楽しめる体験スペースを用意。不定期開催の「匂い袋づくり」のワークショップは、リピートするお客様もおられるほど、人気の催しとなっています。

2026年10月からは、試行錯誤を重ねて練り上げた「お香づくり」のワークショップがスタートします。
ご希望の香りのカウンセリングからはじまり、調香する、捏(こ)ねる、伸ばす、切る、乾燥させるといった実際のお香づくりの工程を、お客様の手で、じっくり体験していただける本格的な内容です。
体験を通して、香づくりを支えてきた先人たちの知恵や、丁寧な手仕事の魅力を感じていただけたら幸いです。


お客様へ“香りをつくる”という新たな「時間」をお届けできる喜びを噛みしめながら、これからも香り文化の発展に努めてまいります。

